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フランス映画祭2010開幕!
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今年もフランス映画祭がやってきました。
祭といっても最近はそんな雰囲気も徐々に減り、
唯一の目玉は初日のレッドカーペットくらい(横浜時代のベルエポックはいずこ?)。
本当に寂しい限りです。
それでも年に一度の最高のフランス的イベントであることに間違いはない。
規模が縮小するからこそ、参加して励ましたくなる映画祭なのでした。
チケットを予約してくれていた先輩は、
ちゃっかり数名の女優のサインをすでにレッドカーペットでもらっていたようです。
私は遅れてきたこともあって遠く微かにジェーン・バーキンの姿を見るのみで
そそくさとオープニング作品の上映される映画館内へ。

観たのは「ミックマック」(原題)という不思議なタイトルの映画。
「アメリ」や「ロングエンゲージメント」を撮ったジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作です。
先に言ってしまうと、この映画は完璧なまでに面白い!
ここ数年に観た映画の中で文句なしに最高の一本でした。
痛快で笑えて、愛に溢れています。
彼の映画というと、アメリのように御伽噺的でノスタルジックな雰囲気(セピア色)漂う映画を
イメージします。
私は基本的に現実のパリをそのままに映す映画が好きなんですが、
彼の作品は何故だか見てしまう。計算しつくされた幻想的なパリは、
まさに映画でしか見られないパリなのです。
ジャン=ピエール・ジュネは映画を見る幸せを完璧な形で与えてくれる稀な監督の一人です。

さてストーリーを少し。
監督の描く物語は、いつも唐突でいてシリアス!
主人公はパリの小さなビデオショップで働く男バジル。
あるとき店の前で起こった銃撃戦に巻き込まれて銃弾が頭に入ってしまい、
その負傷が原因で仕事をクビになってしまいます。
職を失ったバジルは、路上生活をしながら大道芸人を始めます。
パリでホームレス生活を送る姿は、とてもリアルで微笑ましい
(セーヌ河岸の工事現場で眠る彼の横を遊覧船が通っていく)。
そんなときに廃品回収の老人と出会い、彼らの仲間になります。
廃品(鉄くず)の山で造った秘密基地のような愉快な家で、
変わった仲間たちと共同生活を始めます。
彼らは鉄くずなどの廃品を拾ってきては、ここで修理して生計を立てているのでした
(そういえばパリのリシャール・ルノーワル通りに鉄くず市というのがあったらしい)。

あるとき自分を負傷させた銃弾を製造している会社、そして幼い頃に父の命を奪った地雷の製造会社を偶然パリ市内で見かけます(この2つの兵器会社が通りを挟んで向かいに立っているところが、ありえないことを現実にしてしまうジュネ的な発想)。
そして、その会社に復讐をすることを決意。鉄くず小屋の仲間たちと一緒に戦いに挑みます。
この復讐の綿密さには笑ってしまう。廃品回収している彼らならではの小道具をフル活用して、抱腹絶倒の復讐計画が画面に繰り広げられます。
この復讐計画こそが、今回のジュネ監督のアイディアが満載につまったおもちゃ箱です。
そしてバジルたちが悪徳企業に仕掛ける最後の罠には、
見ているこちらも騙されるほどの徹底ぶり!

今回は久し振りにジュネ・ワールドに浸れました!
彼の映画の好きなところは社会に適応できない人たちをヒーローにするところ。
そして細部までこだわった映像もそうですけど、
前半はシリアルで現実的な状況に主人公が置かれるの対して、
そこから急に半分ファンタジーのような世界に入って主人公たちを幸せにしていくこと。
これはディズニーランドにちょっと似ている。
原題の「ミックマック」とは「たくらみ、陰謀」のこと。
「アメリ」では主人公がパリの人を幸せにするために幸福の陰謀をこしらえたが、
今回の映画の主人公は巨大な2つの悪徳企業に対して、不幸の陰謀をしていく。
悪い人間をやっつけるという安易な筋書きは痛快で面白い。

映画上映後のトークショーでは、アメリのカフェ(Cafe des 2 Moulins)に
監督自身もよく行くと言う話に。カフェにいると日本女性がたくさん来ると言っていました。
しかし誰も自分が監督だということに気づいてくれず、
店内にあるアメリのポスターを撮りたいからどいてくれと言われたらしい。
日本女性のかた、心当たりのある方はいますでしょうか??
by kou-mikami | 2010-03-20 11:46 | パリの映画
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