親友の夫に女装趣味があることを知ってしまったら。『8人の女たち』『17歳』などで知られるフランソワ・オゾン監督の最新作『彼は秘密の女友だち』はそんなハプニングから人を惹きつける珍しい映画だが、自身がゲイであることを公表しているオゾン監督の作品であれば、とくに驚くものではない。 物語の舞台は緑豊かなパリ郊外の高級住宅地。そこに住むクレールは病気で亡くなった親友の夫であるダヴィッドが女装趣味を持っていることを偶然知ってしまう。一人で子育てをするダヴィッドの様子を見に出かけていったとき、彼が妻の服を着て子供をあやしているところを見てしまったのだ。最初は嫌悪感から逃げ出してしまったクレールだが、妻を失ったデヴィットを慰めるために彼の家を訪問するたびに、その趣味を受け入れていく。しかしある日、デヴィッドと2人で旅行に出かけたことがクレールの夫にばれてしまう。 女装に目覚めて新しい自分を見つけていくダヴィッドの嬉しそうな顔がすごくいい。ダヴィッド役であるロマン・デュリスの演技の素晴らしさによるものだ。そこには新しい人生を思う存分に生きる、うらやましくなるほどの開放感がある。そしてダヴィッドが女性の性に目覚めるのと呼応するかのように、クレール自身も女性の性の魅力にはまりこんでいく。女装趣味という秘密を共有することで、2人の「女友だち」が性別を超えたなにかを発見していく友情ストーリーともいえる。トランスジェンダーの問題を扱ったフランス映画は多いが、そこにあるのは複雑で難しい恋愛ではなく、実はシンプルな恋愛と友情だけ。フランス映画の素晴らしさはまさにそこにある。 今までと違う自分として生きるのはとても勇気がいること。自分が何者なのか悩み、社会に受け入れられるのか不安になるはずだ。だけどその先には本当にやりたかった人生が待ってるかもしれない。女装は少々極端な例かもしれないけど、外見を変身させることで違う人生を歩むことだってできる。それはきっと開放的で素晴らしいことなのだろう。『彼は秘密の女ともだち』のダヴィッドのように。 『彼は秘密の女友だち』"Une nouvelle amie"
by kou-mikami
| 2017-01-30 08:51
| フランス映画
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