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日本未公開のエリック・ロメール『室内遊戯』とエロイーズ・ベネット
日仏学院で、驚くべき上映会がありました。

エリック・ロメールの日本未公開の映像を
その日限りで上映するというものです。
しかもフランスでさえテレビで一度公開されただけの貴重なフィルム。
チケットは長蛇の列!日仏は普段とは違う熱気に包まれていました。

タイトルは『室内遊戯』"Les Jeux de societe" (1989)
フランスのテレビ局アルテ(芸術系番組)のドキュメンタリーチャンネルとして
制作された57分間の映像作品です。
各時代に行われていた実際の遊戯を再現して、そこから
歴史を読みとこうとする主旨の番組のようです。

上映室に入り、見る前から興奮していましたが、
なんと今回は『春のソナタ』にエーヴ役で出演したエロイーズ・ベネット(Eloise Bennett)が
上映会会場まで来てくれました!こんなことが起こるなんて信じられません・・・
「春のソナタ」の登場人物が実際の目の前に現れる瞬間は、あっさりと訪れました。
そして素晴らしかったのは、エローズ・ベネットが映画の中とほとんど変わらず
美しく、笑顔の素敵な女性だったことです。

実際の上映作品は非常に難解なものでした。(意識が半分飛びました)
執政政府時代に行われた「尋問台ゲーム」やルイ14世時代の「目隠し鬼」、
ルイ16世時代の「私は恋人を**だから愛している」という言葉遊びゲームなど。
しかし上映前にエロイーズ・ベネット自らこの作品の解説をしてくれたので、
なんとか理解することができました。(それでも30%くらいしか分からなかった)

上映後は再びエロイーズが舞台に登場し、
エリック・ロメールとの出会いや作品について語ってくれました。

ロメールは原作者の主観的な視点を大事にしているということ。
文学作品のテキストを一字一句変えずに映画に採用していること。
また、いかにその時代のリアリティを出すかについては、
絵画が動くような『グレースと公爵』の映像を流しながら、解説してくれました。
他にパスカルやカントなどの哲学者を多く引用するシーンについては、
『モード家の一夜』『春のソナタ』の映像の一部を流しながら解説。
なんだか映画の講義を受けているかのような充実感でした。

彼女がロメールと最初に出会ったのは
サンジェルマン・デ・プレに住んでいた13歳のとき。
『海辺のポーリーヌ』のオーディションでした。
ロメールはお茶が大好きで、彼の事務所でお茶を飲んだそうです。
そのオーディションには落ちてしまいましたが、
ロメールは彼女のことをずっと覚えていて、
本日上映の『室内遊戯』で抜擢され、美しいギリシャ風の衣装に纏った女性を演じました。
そして四季物語の第一回作品『春のソナタ』でエーヴ役として出演することになるのです。

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上映後に頂いたエロイーズ・ベネットのサイン(写真は『春のソナタ』の一場面)

『春のソナタ』でエーヴがジャンヌと夕食の席で哲学議論をする有名なシーンは
ソルボンヌ大学で哲学を学んだ彼女だからこそ演じられたのでしょう。
ロメールは会話の自然さを出すために、実際に哲学を知っているエロイーズを
抜擢したのだそうです。そのこだわりがすごいですね。

彼女は現在、ベトナムで教師として生活しているようです。
彼女にとってベトナムに行くことは、ロメールの映画に出演するのと同じくらい
エキサイティングなことだと言っていました。

この日は私にとってもエキサイティングな一日でした!
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by kou-mikami | 2010-05-30 09:11 | パリの映画
パリに来たことを実感できる広場 sanpo
今回はパリのコンコルド広場についてお話します。

ルーヴル美術館から凱旋門まで歩くときに必ず通るのがこの広場です。
ルーヴルからひたすら長いチュイルリー庭園を抜けると、オベリスクが見えてきます。
第一印象は広場というより巨大なターミナル。横断するだけで一苦労。
常にカメラマンがいたりしますが、なんだか広すぎてどこに立っていいかもわからない。
常に人を困惑させる。それがコンコルド広場です。

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夜のコンコルド広場
中央にあるのははナポレオンがエジプト遠征のときに戦利品として持ち帰ったオベリスク(クレオパトラの針)。奥に見えるのがブルボン宮とアンヴァリッド。

当初はルイ15世広場と呼ばれ、革命期には革命広場と名を変えてルイ16世や
マリー・アントワネットの処刑も行われました。
今では車が行き交い、当時の痕跡は何も残っていません。

広場にはブロンズ製の群像で飾られた2つの噴水と8つの女神像があります。
また高級ホテルクリヨンはこの広場に面しています。

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コンコルド広場の噴水

コンコルド広場から西に目を向けると、そこはもうシャン・ゼリゼ大通り!
金色に輝く通りの先には凱旋門が見えています。
パリに来たことを最も実感させてくれる眺めかもしれません。
そして北に目を向ければ、ギリシャの神殿のようなマドレーヌ寺院、
南に目を向ければセーヌの対岸に国民議会(ブルボン宮)が見えます。

つまりこの広場は凱旋門、ルーヴル、マドレーヌ、ブルボンを結ぶ十字架の
中心に位置するわけです。
東西南北にパリの主要な建造物があるこの広場は、まさにパリの黄金ルートの「起点」
といえるかもしれません。
ここを立つと、パリがいかに綿密に計画された美しい都市であるかが実感できますね。

昼間は単に疲れるだけの広場ですが、夜になるとその美しさは格別で、
パリの夜で一番美しい眺めとさえ言われています。
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by kou-mikami | 2010-05-28 05:40 | パリの街角
ムーラン・ルージュは観覧車だった?
「夜のパリ」と聞いて連想するものはなんでしょうか?
ライトアップされたエッフェル塔や遅くまで賑やかなシャンゼリゼもそうですが、
ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge)を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

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夜のムーラン・ルージュ

フランス語で「赤い風車」を意味するこのキャバレー(ダンスホール)は、
肉屋をやっていたジドレールという興行師が、1889年のパリ万博の観光客のために作ったものでした。
いわばイベント用に作られた観光用施設だったのです。
場所はモンマルトルの丘のふもと、パリ一の歓楽街であるピガールにあります。

写真を見ても分かるように、実際に赤い風車が屋根の上に乗っていますね。
一般的にダンスホールですが、お客が踊って楽しむのではなく、
フレンチ・カンカンなどの派手なショーを舞台で見せるナイトクラブとなっています。
当初中庭では小劇場を備えたテラスがあり、娼婦たちが客を探す場所だったらしい。

またムーラン・ルージュといえばロートレック。
画家のトゥールーズ・ロートレックがここに通いつめて踊り子たちの姿を描きました。
ロートレックの生涯を描いた「ムーラン・ルージュ」という映画もあります。
この映画は、パリで毎年夏に行われる野外映画祭で初めて見ました。
サン・トゥスタッシュ教会の前に巨大スクリーンが現れ、夜の12時近くまで上映。
あまりの寒さで最後のほうは集中して観られませんでした・・

現在のムーラン・ルージュでもフレンチ・カンカンが楽しめ、中には映画館も入っています。
『荷風パリ地図』によれば、当初の風車は「大きな輪に幾十もの大きな箱をぶらさげて、
そのなかに客をのせて、紅い灯をつけながら、ぐるぐるとまわした展望観覧車」だったという。
この風車が人を乗せて動いていたかと思うと面白いですね。
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by kou-mikami | 2010-05-22 22:30 | パリの街角
イタリア映画祭2010
今回はフランス映画ではなく、イタリア映画の話です。
パリに関係がありませんが、ご了承を・・・。
なぜイタリア映画かと言うと、前の職場の先輩が都合が悪くなって観にいけなくなったため、
急遽僕がチケットを頂いて見ることになったのです。
行ってきたのは有楽町で開催中のイタリア映画祭2010
僕にとってイタリア映画は「ベニスに死す」であり「イル・ポスティーノ」であり、
最近のイタリア映画は全く知りません・・・。
最近は合作が多くて知らないうちにイタリア映画を見ている可能性もありますが、
純粋な(?)イタリア映画は本当に久し振り。
そのため、これは素晴らしい機会となりました。
しかし一日に2本もイタリア映画を見たのはきっと初めての経験でした・・・

まず最初に観たのが「重なりあう時」"La doppia ora"(写真)
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ポスターのビジュアルからして、なんだかサスペンスもしくはホラー要素が強そうだなぁというのが第一印象。
2009年ヴェネチア映画祭で主演女優賞を受賞したクセニア・ラパポルトが主演。
トリノのホテルで清掃係として働くソニアはスロベニア移民。
テープでイタリア語を勉強しながら、日々ベッドメイキングの仕事をこなしている。
オープニングはホテル客の自殺のシーンをソニアが目撃したところから始まります。
最初その女性客が主人公かと思ってみていたら、いきなり投身自殺を図ってしまい、
見ているほうも驚きでした。一体この映画どうなるんだ?
なにやら始まりから不穏な空気が映画全体に流れていました。

ある日ソニアは、「スピードお見合いパーティー」でグイドという男と知り合います
(イタリアにもこういうイベントがあるんですね。薄暗いシックなレストランで10分おきくらいに違う人と次々と話していくせわしないイベント)。
口数の少ないグイドは別荘のガードマンとして生活しています。
仲の良くなった2人は、グイドの勤務する大金持ちの別荘で時を過ごします。
しかしそこに突然強盗が入り、恐ろしい事故が起こります。
映画のストーリーラインからいきなり外れた感触があって、その意外な展開に驚きました。
徐々に内容はサスペンスの様相を呈していき、途中で主人公に意外な正体が判明します。

ラストは結局何かが解決したわけでもなく終わったような唐突さが残りました。
しかし観客を騙す監督の手腕は見事。
そして主人公の起こした過ちへの後悔が恐ろしい夢となって表出してくる中盤のシーンは
この映画の肝でしょう。原題は「2層の現在」という意味でしょうか。
夢と現在が映画の中で進行していくという意味での「2層」になっていて、
人間は決して一つの人生を生きているわけではないのだということを教えてくれます。
後悔や理想を引き摺りながら複雑に生きている。後からいろいろ考えていると、
この主人公の複雑な心理が映像の中にちりばめられていたことに気づきます。
映画祭だからこそ見れた映画でしたね。この映画はトリノが舞台でしたが、
トリノ舞台のイタリア映画といえば「トリノ、24時からの恋人たち」がありました。
こっちは若者の三角関係を描いた恋愛映画。

2本目は「まっさらな光のもとで」"Lo spazio bianco"(写真)
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フランスでいうカトリーヌ・ドヌーヴのような貫禄ある女優マルゲリータ・ブイが主演。
夜間中学の教師として働くマリアは離婚経験のある女性。
あるとき映画館で出会った男と関係を持ち、予期しない妊娠をしてしまいます。
相手が出産を望まないため、マリアは一人で産み育てることを決意します。
しかし早期出産のため未熟児として生まれた赤ん坊はなかなか呼吸器を外すことができず、
マリアは苛立ちと無力感の中で日々不安を募らせていきます。
病院の保育室のカーテンが全て白く、その映像のあまりの白さは人生のある「空白期間」を
象徴しているように見えました。子供が元気に育っていくかまだ分からない。
そんな母親誰もが抱える先の見えない不安な気持ちがこの白い光の中にあったような気がしました。
ちょっと怖くなるほどの白さです。

主人公は保育器の前で、待つことを学びます。
そして自分の自由を奪った生命と向き合いながら自分自身も成長していきます。
こちらはハッピーエンドで終わるストレートな映画でした。
親子をテーマにした映画は無数にありますが、
出産直後の母の不安を描く映画は意外と少ないと思います。
とても新鮮な映画でした。

どちらもストーリーが伏線がありそうで消えたりと不思議な感じでしたが、
これがイタリア映画なのかなと勝手に思いました。
2本とも女性が主人公だったのが印象的でした。
特に違和感もなく世界に入っていけたのは自分が最近まで女性を主人公にした小説を
書いていたせいかもしれません。

「重なりあう時」"La doppia ora"(2009/イタリア)
監督:ジュゼッペ・カポトンディ

「まっさらな光のもとで」"Lo spazio bianco"(2009/イタリア)
監督:フランチェスカ・コメンチーニ
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by kou-mikami | 2010-05-03 19:27 | パリ関連・その他



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